第1章 補遺 02

 この世にはリミバルを持つ者と持たない者、2種類の人類が存在している。僕は持っていないがユーズは持っている。僕は帰属意識が低いのか、あまりリミバルの有無に拘らない。だが、持つ者と持たざる者に分かれて戦争が起きたということは多くの人類にとってそれは大事なことだったらしい。資源を使い果たし、今日を生きるのに必死にならなければならないガラクタばかりの世界にするほどのことだったのか。僕には理解できない。

 さて、戦争の種となったリミバルとはどのようなものなのか。資料によると、肉体の能力が記憶または思考の影響を受けるものであるという。足が速くなった自分を想像することができれば実際の肉体の能力もその想像の解像度に応じて上昇するといった具合だ。本人が想像し得ないことは実現不可能らしい。

 また、能力には強弱がある。知能との関係が見られ、その関係は反比例であるらしい。その関係が影響しているのか、能力を持たない人間は能力持ちよりも知能が高いというのが一般的だ。

 僕がユーズを連れて行こうと決めたのは彼の能力が高そうだったからだ。力仕事を任せられる人材が旅には必要だと判断したから勧誘した。僕に無い要素を補ってくれる彼には感謝している。

 能力が高くても知能が低くては能力を最大限活かすことができない。分化戦争終盤には能力の高い者の脳に無理やり知識を与える技術が考案され、猛威を振るったという。倫理度外視のトンデモ技術だが、この技術が無ければ今でも繁栄時代の武器探しに明け暮れていただろう。戦争技術が世界存続の希望になるとは皮肉なものだ。